その知らせは突然に・・・
「なんですって!大阪に転勤!」
K子は、あまりにも突然のことに大声を発していた。
「ああ、今日、突然、上司に呼び出されて、どうしても行ってほしいと・・・」
「無理に決まってるでしょ!子どもも3人いるし、やっと通常生活に
戻れたと思っていたのに、一体、どうするのよ!」
「サラリーマンの宿命さ・・・もちろん、交渉はしたけど、
大阪でのプロジェクトで予定していた人員に穴が空いて、
どうしようもないってことでさ・・・」
「そんなの会社都合じゃないの!なんとかならないの!」
「それがなんとかならないんだよ・・・そして、初めての単身赴任になりそうだよ・・・」
「そのプロジェクトは前回みたいなプロジェクトじゃないのよね!?」
「それが、そうじゃないらしくてさ・・・一体、会社も何を考えているんだか・・・」
K子は、ひどく落胆した。
あんなことがあって、ようやく通常生活を取り戻し、
さあ、これから、というときに・・・
「4月からどうするのよ!末っ子だって、小学校に入学するし、いろいろ大変なのよ!」
「そりゃあ、俺だって、分かってるさ・・・だけど、取り付く島もなくてさ・・・」
このとき、K子には、受け入れる以外の選択肢がなかった。
(私一人で子ども3人の面倒を見る・・・)
想像もつかない出来事だった。
T郎の大阪への異動、そして・・・
翌年4月から、T郎は、大阪へ単身赴任でプロジェクト対応のため、
最低二年という会社からの約束で、再度、トンデモプロジェクトに奔走することになった。
毎日、K子はT郎へ連絡を取ってはいたものの3人の子どもの面倒を見つつ、
その場にいないT郎の状況は、当然のことながら、知る由もなかった。
そして、おおよそ10か月程度のプロジェクトが終了し、
年明けから1か月程度たったある日のこと。
「ピンポーン」
突然、インターフォンがなった。
(あら、誰かしら?)
すると、そこには虚ろな目をし、生気のないT郎がいた。
「あなた、一体、どうしたの!?」
1年前のことがデジャヴのように蘇ったのであった・・・
再度、精神科へ・・・
すぐに、K子は、T郎の会社へ連絡した。
会社のほうでも、T郎の突然の失踪に大混乱が起きていたようで、
「ああ、無事でよかった!朝から、まったく連絡が取れず、
今、T郎さんのアパートに警察を呼んで、入ったところだったんですよ!」
「すみません。私も突然のことで混乱しておりまして・・・」
「いえ、まずはT郎さんの無事が確認できてよかったです。
少し、今後のことについて、また、落ち着いたら、お話させていただけますでしょうか?」
「分かりました。こちらも、あまりにも突然のことで、
まだ、状況が整理できておりませんので・・・」
そして、1年前と同様、急遽、精神科の当日予約を取ってもらい、診察を受けた。
T郎の病名は「うつ病」であった・・・
~K子side episode3~ to be continued・・・
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