はじめに
本記事では、「超実践 不動産投資のプロ技」を7回に分けて、解説していきます。
本記事は3回目です。
3回目は、「プロの「優良物件情報」選別法」ということで記載していきます。
プロの物件情報選別法
日頃、物件情報の収集に注力し、さらには購入実績を積んでいくと、
「こんな物件出てきたんですけど買いませんか?」というかたちで、
どんどん物件情報が入ってくるようになります。
ただし、それらの物件情報は誠に残念ながら、9割以上は即ごみ箱行きです。
著者の考え方における断捨離基準は次のとおりです。
- 更地の土地情報
- 自分の求める営業エリア外
- 自分の求める物件種別外
- 価格(利回り)がまったく合わない物件
- 古過ぎる
- 再建築に難あり
これらの基準で確認していると、
「アレ?こんなに情報がきているのに、買える物件ないじゃないか?」となることは
珍しくありません。
どれだけ良い情報が回ってきても、それの良し悪しの判断に時間がかかってしまっては、
「すべてが1点モノの不動産」、すぐさま他の人に持っていかれてしまいます。
時間の無駄となる検討はできるだけ省き、「検討に値する物件」について、
情報を精査して、いかにスピード感を持って判断できるか、
ここが不動産投資の成否につながっていきます。
プロの「気になる物件」精査手順
即ゴミ箱行きというフィルターを潜り抜けた物件について、
物件の概要をしっかりと把握していく作業に入ります。
「気になるレベルの物件情報」を入手できたとします。
この精査時点の前後でまず取得しておきたいのは、以下の書類です。
- 物件概要書 or 販売図面
- レントロール(賃貸一覧表)
- 謄本、公図、測量図、法務局資料
それでは本題の精査手順です。
- 場所の確認
- 外観の確認
- 公的評価の確認
- 土地と接道の確認(一棟物件のみ)
- 建物の机上チェック
- 遵法性チェック
- 賃貸状況のチェック
- コスト面のチェック
- 適した金融機関があるかチェック
- シミュレーションをチェック
ここでは全体の流れを書いてありますが、各々の手順において、
より細かなチェック方法やノウハウがありますので、
具体的な方法を公開していきます。
プロのGoogleマップフル活用術
とても便利なGoogleマップ。
もうこれは不動産業者のために作ってくれたんじゃないかと思わざるを得ないレベルです。
著者の活用方法を公開します。
- 場所を把握する
- ストリートビューで外観を見る
- 航空写真を見る
- 3D画像を見る
- ルート検索
- 高低差を見る
- ストリートビューの共有
- ストリートビューを撮影時間で比較する
プロの公的評価チェック方法
物件の位置的なイメージと外観の把握ができたら、
次は土地・建物についての公的評価の把握です。
公的評価については、一般的に次のものがあります。
- 路線価
- 地価公示
- 地価調査
- 固定資産税評価
どれも必要に応じて使われる指標ではありますが、(一棟物件において)
まず見るべきは「相続税路線価」です。
ほとんどの金融機関において、投資用一棟物件の融資では、
参考にされないということはありません。
プロの不動産営業マン・不動産投資家がこれらの公の評価を気に掛けるのは、
融資が出るかどうかの判断材料になるからです。
「金融機関の評価待ち」で1週間、2週間と待たされてしまっては、
そもそもの物件取得においてスピードで負けてしまいます。
「融資が出る物件か否か」、
その入口の判断を自分で即座にするためのチェックです。
プロのマーケット相場把握方法
公的評価に対してある意味「民的評価」とも言えるのが、
実際のマーケットにおける取引(されるであろう)価格です。
不動産投資において、把握しておきたい相場は、次の2つ。
- 賃貸マーケット相場
- 売買マーケット相場
簡単に言ってしまえば、
- 隣のアパートは敷金・礼金1ヶ月で、5万円の賃料で募集されている
- 同じ駅を利用する一棟マンションは少し古いが表面利回り8%で販売中
- 同じ町内、似たような道路に面した土地が坪100万円
このような情報を見て、それならば「自分が検討している物件」は、
- これくらいで貸せて
- 将来的にもこれくらいの利回り感で売買ができそう
- 更地にした時でもこれくらいの価値はありそうだ
という雰囲気をつかむということです。これが相場の把握です。
プロの土地と接道の確認方法
一棟物件においては、敷地の形と接道は見逃せない重要な部分です。
プロが土地を軽視しないのは、主に次の3つの理由からです。
- 購入、売却時共に、金融機関の融資評価に影響する
- 将来的な売却(出口戦略)時に売買価格に影響する
- 将来再建築する際に、建築できる建物に影響する
特に一棟アパートや長屋(テラスハウス)等は、普通の戸建てを建築しにくい「敷地延長」と
呼ばれる旗竿型の土地に建てられるケースも多いため、
問題のない土地かどうかの事前チェックは重要です。
まずはチェック方法をご紹介します。使う道具と確認するべき資料は次のものです。
- 三角スケール
- 公図
- 地積測量図
- 道路台帳平面図
- 位置指定道路図
- 建築計画概要書
プロの建物簡易チェック
ここでは「建物」の机上、というか、紙とPC上での簡単精査方法をご紹介します。
机上の建物チェックでほしい資料関係は次のものです。
- 物件概要書 or 販売図面
- 法務局資料
- 建物の登記簿謄本(現在事項全部証明書)
- 各階平面図・建物図面
- 修繕履歴
- 間取図(一棟物件なら各フロア全体の間取平面図)
- 賃貸の募集図面
プロの簡易遵法性チェック
「遵法性」というと固い響きですが、
現行の法律に則って建築・運用されているかというチェックをします。
この項目についても、分譲タイプの区分マンション等は、露骨な違反建築というのは
あまり見かけないため、主に一棟物件における注意点として認識しましょう。
なお、遵法性に問題がない物件を検討するのがセオリーではありますが、
違反建築物は即NGというわけではありません。
金融機関の融資が付きにくくとも、現金購入できる人であれば、関係ありません。
また、建物部分のみが違反建築状態(容積率オーバー等)の際には、部分的に改築して
適合させたり、将来的に適法なものを建築したりするなどして、違反状態を改善すれば、
通常の収益物件となります。
あらかじめ遵法性違反があるという認識で、それに適した金額で物件を取得するのであれば
一向にかまいません。
このちょっとした知識がないことによって「普通の金額で普通の物件として」購入し、
あとから違反建築であったとわかることだけは避けたいところです。
プロの賃貸状況チェック
賃貸状況を確認するために、まず取得したい資料は「レントロール」と呼ばれる賃料の一覧表です。
戸建賃貸や区分ワンルームの1室であれば、賃貸借契約書そのものを1世帯分、
じっくり読み込めば済む話ではありますが、
戸数が10戸、50戸、100戸のような規模の一棟物件になってくると、日が暮れる作業です。
検討の入口時点においては、賃貸の細かな文言が知りたいわけではなく、
物件の収益力を客観的に把握したいだけです。
数十ページにもわたる資料を読み取るのは、具体化してからでいいでしょう。
レントロールから読み取るべき情報は次のものです。
- 全体の戸数と賃貸中の戸数の把握
- 用途を確認
- 賃貸面積(間取り)を確認
- 賃料(共益費)等収入を確認
- 契約期間、入居時期
- 敷金(保証金)
プロの現地確認テクニック
賃貸状況についても最終的なチェックは現地の確認に勝るものはありません。
その大事な現地調査ですが、これについては、
大きく2つの観点から物件を見ていきます。
- 入居者目線で見たときに魅力はあるか?
- 売買対象の不動産として見た時に問題はないか?
これらを前提に分野別に「物件の見方」は以下のとおりとなります。
- 交通面の状況
- 対象不動産の前面道路・接道状況
- 境界・越境物の状況
- 建物の管理状況
- 入居状況
- 室内の状況(現在空室がある場合)
- 物件の周辺環境のチェック
プロは「買う前に売ることを考える」
「何%の利回りがあれば、『買い』なのか?」
これは、物件のポテンシャルはもちろん、その時々のマーケット状況によって変動するため、
絶対的な数字はありません。
たとえ、パッと見の表面利回りが「5~6%」と低く見えても、それが銀座の一等地であれば
安いかもしれませんし、郊外エリアであれば、通常ありえない今だけの高値の可能性もあります。
「不動産業者としてのプロ」たちは、日々収益物件に触れているため、
肌感覚で「このエリアなら出口は〇%くらいか、それなら仕入れは〇%以上だな」と
経験値からくる勘を働かせています。
では、そこまで四六時中、投資対象のマーケット相場を把握できない「投資家側」としては、
どうしたらいいでしょうか?
これについては、「マーケットレポート」の活用が有効です。
GoogleなどのWeb検索で、「不動産投資」「利回り」「マーケットレポート」などで
検索すると、3ヶ月ごとなどの期間で作成されたレポートが見つけられます。
「建美家」や「楽待」、その他、みずほファイナンシャルグループのシンクタンク
「都市未来総合研究所」のレポートなどを簡単に見ることができます。
プロの運営コストチェック方法
どれだけ表面的な利回りが高くとも、経費が過大になってしまっては意味がありません。
不動産投資においては、ランニングコストがまったくかからないということは
ありませんので、購入是非の検討時には、この支出部分はしっかりと把握しておきたいところです。
物件保有中にかかってくる運営コストの内容としては、主に以下のようなものがあります。
- 家賃収納代行等 全般の管理料
- 建物自体の清掃や消防点検等のコスト等
- 町内会費やケーブルTV、インターネットの提供費用等
- 水道光熱費
- 固定資産税、都市計画税
ただし、これらは案件ごとに差も出てきますから、一棟アパート・マンション等は
以下の範囲に収まる傾向にあります。
・対象不動産の年間賃料収入に対しての年間運営コスト
【規模の小さな木造アパート等】⇒10~15%
【規模の小さな3~4階建ての鉄骨造一棟マンション等】⇒15~20%
【規模が大きめなエレベーター付の一棟マンション等】⇒20~25%
プロのシミュレーション作成方法
物件取得後の収支の計画を練る際は、シミュレーションを作成し、
実際に手元にどれくらいのお金が残るのか、
毎月・毎年のキャッシュフローを予測します。
次のような流れで考えるとわかりやすいでしょう。
満室だといくら入って、
年間でどれくらい空室(期間)があって、
運営費がどれくらい必要で、
返済がいくらで、
キャッシュフローがどのくらい出るか?
鉛筆と電卓でも簡単なものは作成できますが、プロであれば
表計算ソフト(エクセル等)や、専用シミュレーターを活用するのが一般的です。
「不動産投資」「シミュレーション」等で検索すると「楽待」のものや、
有名不動産投資家が作成したもの、税理士の作ったものなど、いくつも出てきますので、
使いやすいもので試してみるとよいでしょう。
以上!
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