「「年金0.4%カット」と「インフレ」で「年金生活者の負担」はこれだけ増える…! 衝撃の試算」の感想

はじめに

表題の記事の感想を記載したいと思います。

尚、引用元は以下です。

「年金0.4%カット」と「インフレ」で「年金生活者の負担」はこれだけ増える…! 衝撃の試算

あなたの年金に直結…岸田政権の「賃上げ税制」によって「格差」がさらに拡大しそうなワケ

引用内容

 年金の0.4%カットが多くの人に衝撃を与えています。いったいどのような仕組みで支給額が減らされるのでしょうか。また、世間ではインフレが進み、多くの人の生活が苦しくなっています。そんななかで、年金をもらっている人たちの負担はどれくらい増えるのでしょうか。経済評論家の荻原博子さんが解説します。

年金は上がるどころか…

 エネルギーや食料品の価格が上昇していく中で家計への負担をどう乗り越えればいいのかということを、以前、このコラムで書きました。

 どんなに物価が上昇していっても、それに合わせて賃金や年金の支給額が増えていけば、家計はなんとかやっていけます。

 ところが現実は、電気、ガス、ガソリンから食料品まで、あらゆるものの値段が上がっているにもかかわらず、給料や支給される年金額は減るという、最悪の事態が起きています。

 新型コロナのオミクロン株の爆発的な感染拡大で影響を受ける企業の業績が悪化し、従業員の給料が下がるというのはあり得る話でしょう。

 けれど、物価が上がったら、それに応じて上がるシステムになっていたはずの公的年金までが新型コロナの影響で下がるというのはどういうことなのでしょうか。そのカラクリを見てみましょう。

物価が上がれば、実質的な「年金カット」

 日本の年金は、もともとは「物価や賃金が上がれば、それに応じて年金額も上がる」という、物価スライド、賃金スライド方式が採用されていました。

 けれど、年金行政の楽観的な予想が当然のように外れたことや、無駄遣いなどで年金財政が逼迫し、物価や賃金が上がったらぶんだけ年金を増やしていくと、将来、年金原資が枯渇してしまうというおそれが出てきました。

 そこで小泉純一郎内閣は、2004年の年金改革で、物価や賃金が上がっても、年金は物価などの上昇ほどに上がらない仕組みを導入しました。これが、「マクロ経済スライド」です。

 「マクロ経済スライド」の仕組みを説明すると超複雑なので、ここではイメージでお話しします。「マクロ経済スライド」が導入される前は、10万円だったモノが次の年に11万円に値上がりするという物価上昇が起きたら、これに応じて10万円の年金が次の年には11万円に増えていました。これが、「物価スライド」です。

 ところが、そうやって年金をどんどん支給していくと、将来、年金をもらう人達の年金原資が枯渇してしまうという状況が起きてしまったのです。そこで慌てた政府は、どうすれば支給額をカットできるのかと考えました。

 そこで登場したのが、「マクロ経済スライド」です。

 「マクロ経済スライド」では、10万円のものが次の年には11万円になったとしても、年金の額を1万円増やすのではなく、調整して5000円だけ増やす(繰り返しますが、これはイメージで実際の制度はもっと複雑です)ということにしました。

 つまり、物価や賃金の上昇ぶんよりも年金が上がる率のほうが低くなるので、実質的には年金がカットできるということです。

 本来なら「マクロ経済スライドカット」とでもすれば実態がわかるのに、そうしないところが極めて悪質です。

物価が上昇しても、賃金が下がれば…

 国は、この「マクロ経済スライド」で徐々に実質的な年金を実質目減りさせいって、年金財政を立て直すつもりでした。

 ところが、予想外だったのは、デフレが長引いて物価が上がらなかったために、「マクロ経済スライド」自体が発動されないということが続いたのです。「マクロ経済スライド」は、2004年以来、3度しか発動されていません。消費税が引き上げられた2015年と、物価が上昇した2019年、2020年です。

 そのため、実質的な年金カットが進まなかったために、政府は令和3年に、さらに新しいルールをつくりました。

 それまで年金の支給額は、賃金と物価の両方をかんがみて決まっていました。これを、令和3年からは、どんなに物価が上がっていても、賃金が下がっていたら、年金も賃金に合わせて支給額を下げるということにしたのです。

 結果、令和3年の年金は、物価は下がっていなかったのに、賃金が0.1%下がったために、賃金の値下がりに合わせて年金も0.1%下がることになりました。

 しかも、令和4年は、物価が驚くほど上昇したにもかかわらず、賃金が下がったことによって、なんと年金の支給額はマイナス0.4%となることが決まりました。

 この0.4%減は、この6月に支給する4月分から適用になります。具体的な2022年度の支給額は、国民年金が満額1人分で前年度比259円マイナスの月額6万4816円。厚生年金は夫婦2人のモデル世帯の場合、903円減の21万9593円となる予定です。

 一方、物価の上昇はどうでしょうか。総務省が12月24日に発表した11月の消費者物価上昇率は前年同月比0.6%でした。日本銀行が1月18日に発表した2022年度の消費者物価指数の上昇率見通しを前年度比1.1%です。

 総務省の「家計調査報告(家計収支編)2020年」によると、世帯主の年齢が65歳以上で夫婦のみの無職世帯の消費支出は22万4390円。これが1.1%増えれば、増加額は2468円になります。

 つまり、収入は903円減って、支出は2468円増えるわけですから、負担としては3371円。年間では4万円以上も大きくなるのです。

 しかも、年金の減少額は確定した数字ですが、物価は原油価格の上昇や為替動向によって輸入物価が上昇すれば、更にものの値段は上がる可能性もあることを考えれば、年間4万円の負担増は少なく見積もった数字と言ってもいいかもしれません。

 どんなに物価が上昇しても、賃金が下がるともらえる年金額も下がってしまうというのは、年金生活者にとっては、今までどおりの買い物ができないということですから、これはもう死活問題でしょう。

 「新しい資本主義」を掲げる現政権には、安心して暮らしていける環境の整備を期待したいところですが、実は岸田政権が進めている政策は、それに逆行するところがあります。【後編】「あなたの年金に直結…岸田政権の「賃上げ税制」によって「格差」がさらに拡大しそうなワケ」で詳しく解説します。

【前編】「「年金0.4%カット」と「インフレ」で「年金生活者の負担」はこれだけ増える…! 衝撃の試算」では、年金の0.4%カットによって生活負担がどれだけ増えるかを見ました。

日本が採用している「マクロ経済スライド」では、物価や賃金が上がると、「実質的」に年金がカットされることになっていました。けれど、もっと大きくカットしたいと考えた国は、2016年に新たに、物価が上がっても賃金が下がれば年金額も「実質的」ではなく「実際」にカットされる仕組みを作りました。この新しいルールでは、賃金に合わせて年金支給額が決まるため、インフレ下にあっても年金の支給額が減ります。いま起きていることは、まさにそれ。

一方、年金に大きな影響を与える賃金に関して、岸田政権は賃上げを標榜しています。しかし、政権が繰り出す政策によって、本当に賃金が上がるのでしょうか。以下では、そうした点について経済ジャーナリストの荻原博子さんが解説します。

「賃上げ税制」で、給料は上がるのか?

もちろん物価が上がっていても、同じように賃金も上がっていけば、「マクロ経済スライド」でいずれは実質目減りしても年金支給額も上がっていく可能性はあります。

そこで期待したいのが、賃上げを高らかに明言している岸田文雄内閣の「分配重視政策」です。しかし、本当にこれで賃金は上がるのでしょうか。

岸田内閣の賃上げの目玉は、2022年度の税制改正にも掲げられた「賃上げ税制」です。企業が非正規従業員を含む全従業員の「給与総額」を前年度比2.5%以上増やせば、法人税額を大企業で最大30%、中小業で最大40%控除する(安くする)というものです。

12月6日の所信表明演説でも、岸田首相は「給料を引き上げた企業を支援するための税制を抜本的に強化します。企業の税額控除を、大胆に引き上げます」と力強く述べました。

ただ、この中身をじっくり見ましたが、個人的には、これではとても給料は上がらないという気がします。

「賃上げ税制」をおトクと思う経営者はいるか?

仮に、従業員10人の企業があるとします。社員に支払う給料は、1人年間360万円で総額3600万円。法人税を安くするには、この給料を2.5%上げなくてはならないので、3600万円×2.5%で支払う給料を90万円増やせば「賃上げ税制」の恩恵を受けられます。

具体的には、この企業に、その年500万円ほどの儲けがあったとすれば、法人税率は15%(2019年4月1日以降に開業した企業は19%)なので、500万円×15%となり、支払う法人税は75万円。このうちの40%を減税してくれるというのですから、75万円×40%で税金が33万円安くなるということです。

支払う給料を年間90万円増やしても、安くしてもらえる法人税が30万円では、このケースでは、経営者が「これはおトクだ」とは思わないでしょう。

それどころか、いったん引き上げた給料は、簡単に引き下げられません。つまり、1回だけ30万円もらっても、毎年ずっと90万円ずつ支払う給料が多くなるのですから、ただでさえコロナ禍で経営が厳しい中で、果たしてそんな選択をするでしょうか。

約7割の企業は、法人税を払っていない

百歩譲って、岸田政権の政策に賛同して「賃上げ税制」の恩恵を受けるために従業員の給料を上げる経営者がいたとしても、ほんの一握りに過ぎないでしょう。

なぜなら、日本の企業のほとんどは、もともと法人税を支払っていません。法人税を支払っていない企業は、いくら「「賃上げ税制」で税金を返してくれるといっても、返してもらうことはできないからです。

国税庁が2021年3月に公表した「国税庁統計法人税表」によれば、日本では65.4%の企業が赤字。つまり、法人税を納めていません。

この数字は、コロナ禍が本格化する前の2019年度の数字ですから、コロナ禍の中では、さらに法人税を払えない企業は増えていることが予想されます。少なく見ても、日本の企業の7割は赤字になっているのではないかと思われますから、そんな中で、「給料を上げた企業には法人税を安くする」と言われても、これはもうほとんどの会社にとっては他人事ということになってしまうのではないでしょうか。

「給与総額」さえ上げれば、中身は関係ない

もちろん、この税制に魅力を感じる企業経営者も、いないことは言い切れません。

どんな経営者かといえば、給料は高くても優秀な人材を集めたいと思っている場合です。

「賃上げ税制」の対象となるのは、あくまで「賃金総額」。ですから、個々人の給与ではなく、働く人の給与の総額を2.5%上げれば適用されます。

コロナ禍でも儲かって支払う税金が増えたという企業の中には、儲かっているうちに優秀な技術者など能力の高い人を雇っておこうというところもあるでしょう。

たとえば、従業員が10人の会社で、今いる社員の給料が1人360万円で総額3600万円の給料を支払っているとしたら、仕事ができない社員を2人クビにして、若くて有能な社員を405万円で2人雇えば、給与総額では2.5%賃金が増えたことになります。

クビにしないまでも、やめてほしくない人材2人の給料は360万円から460万円に上げ、能力が低い2人については給料を300万円に下げて、その他の6人の給料はいままでどおり360万円としても、総額は2.5%以上増えます。

つまり、賃上げ税制を利用する経営者がいたとしても、その結果として訪れるのは、全ての働く人の賃金が上がるのではなく、企業にとって欲しい人材とそうでない人材の給与格差が進む危険性すらないとは言えないのです。

岸田政権の給料アップの目玉政策では、給料のアップにはあまり効果がないだけでなく、ややもすれば、給与格差を広げてしまう危険性すらあるのです。

給料も年金も上がらない中で、物価だけが上がっていく。庶民生活は、新型コロナの脅威が去っても、新たな痛みにさらされる1年になりそうなのです。

感想

ホント、最悪の事態が起きていますね・・・

ガソリン高すぎ、マジで。(´;ω;`)

地方在住者にとっては、死活問題です。

記事中にもありますが、「マクロ経済スライド」、極めて悪質ですね。

というか、年金の制度、もう実質破綻してるじゃないですか!?

物価上がって、賃金下がって、それに伴って、年金もカットって・・・

後編で触れられている岸田政権の「新しい資本主義」についても、

富の再分配どころか、より一層、格差拡大を助長するだけじゃないですか!?

物価は上がる、賃金は下がる=年金も下がる、格差拡大する、って・・・

アレ、マジ、ニホン、オワッテマスカ?

ダレカ、タスカルホウホウ、オシエテクダサイ。

笑えないですね・・・

以上!

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