はじめに
本記事では、「まずはアパート一棟、買いなさい!」を9回に分けて、解説していきます。
本記事は8回目です。
8回目は、「入居者さん、いらっしゃい!満室経営を生む極意」ということで記載していきます。
管理会社が案内したくなる部屋を作る
入居者に選ばれるには物件自体に魅力が必要ですが、それは入居者にとってだけでなく、
入居者を案内する不動産屋にとっても魅力がなければなりません。
なぜなら、「どうせ決めてくれないだろうな」と不動産屋が思うような部屋では、
入居者が実際に見て選ぶ以前に、不動産屋がその部屋を紹介する気にならないからです。
連れて行っても決まらない部屋だと、不動産屋にとっては無駄足になります。
ですから、入居付けのためには、入居者に対してはもちろん、協力を得られるように
不動産屋に対しても魅力を提示しなければならないということです。
第一印象で大切なのは清潔感
部屋は内見のない状態が続くと雰囲気が悪くなってきます。
ですから、空室期間が長くなった場合は、定期的に掃除したり、水を流したりする必要があります。
空室が続くからどんどん部屋の雰囲気が悪くなり、
ますます選ばれなくなっていく負のスパイラルに陥っている物件が世の中には非常に多いです。
賃料を相場よりも1割下げる
物件の魅力というのは、なにもきれいで清潔な建物や設備が整っていることだけではありません。
家賃の安さというのも立派な魅力です。
それどころか、このご時世では、もっとも効果的な策かもしれません。
都心の物件であれば部屋探しをする人が多い分、相場より高くてもおしゃれな部屋に住みたい
という人の数も多いと思いますが、地方郊外では安い部屋から決まっていくという現実があります。
ですから、この先の日本の経済状況を考えても、
今は安くする提供するという作戦がよいかもしれません。
また、高い家賃を取るよりも、入居者には長く住んでもらいたいですし、
地域周辺で話題になることで、次の部屋の需要にもつながっていくからです。
周辺の物件とそれほど家賃の差をつけられないのであれば、
割り切って賃料で魅力付けしたほうが得策でしょう。
どれくらい下げるかは収益性との兼ね合いがありますが、
1割程度が妥当と思います。
適正な賃料を決めるためには、近隣の競合物件がどんな設備で、いくらで貸しているのか、
きちんと相場を把握しておくのが大事なのは言うまでもありません。
報奨金で不動産屋をやる気にさせる
これは入居者にとってというより、不動産屋にとって魅力を高めるための方法です。
入居者を決めてくれた不動産屋の担当者に個人的に報奨金を支払うことで、
臨時収入という魅力を付けようという作戦です。
ただし、言うまでもなく、報奨金という手法だけに頼っても
部屋自体に魅力がなければ効果はありません。
不動産屋も嫌がる入居者を無理に押し込むことはできませんから、
入居者にとっての魅力を十分に高めたうえで使うようにしましょう。
具体的には、
「今月中に満室にしてくれたらさらにボーナスを差し上げます」
「月に2件決めてくれたら1万円プラスします」
などと約束をしておけば、さらにがんばってくれると思います。
自分の物件の「営業マン」を増やす
入居を決めるには、物件を見に来る人の数を増やすことが大事です。
それはすなわち、自分の物件を紹介してくれる人の数を増やすことでもあります。
その地域にある不動産屋に行って、報奨金の話を持ち掛けるわけです。
管理会社を選ぶためにいろいろ不動産屋回りをしたときに、ほかに感触のよかった会社を訪ねて、
「よろしかったらご飯でも食べながらいろいろ教えてください」
とお願いして、そうして仲良くなっていくようにしましょう。
もちろん管理会社に了解を取ってからやるべきですが、
よほど業者同士で仲が悪いわけでなければOKしてくれると思います。
レンタル家具付きモデルルームはインパクト大
競合物件に差をつける秘策として、モデルルームをつくってみるという手もあります。
そういう部屋があると、近隣の業者も珍しさと話題性でお客を連れていきたくなるものですから、
成約率も高まると思います。
また、空室だらけでリフォームが必要な物件を買った場合は、
リフォーム期間中の機会損失を最低限に抑えるために、
一室だけ先にすべての内装や設備を仕上げておいて、
そこをモデルルームとして使うというテクニックもあります。
家具付き物件で入居のハードルを下げる
家具付き物件であれば、ベッドに布団、テレビ、冷蔵庫、電子レンジ、洗濯機、エアコンなど、
ほとんど身ひとつで入居できてしまうので、初めてひとり暮らしをする人、所有物の少ない人、
新生活のスタートにお金をあまりかけられない人や単身赴任者にはとても助かるのだと思います。
ただ、いくら効果があることがわかっていても、
そこまで予算をかけるかどうかは判断の分かれるところでしょう。
ですから、例えば、
「入居を決めてくださった方には、冷蔵庫、洗濯機、薄型テレビのどれかひとつをプレゼント!」
ということをやってもいいかもしれません。
生活保護者も入居の対象に
物件によっては、生活保護を受けている方も積極的に入居の対象にしていく選択もあります。
自治体の福祉課で確認をすれば、その地域の生活保護の住居費はわかりますから、
その住居費に近い家賃の物件を持っている大家さんは、対象と考えてみるのもいいと思います。
滞納などを心配されるかもしれませんが、
生活保護者でも家賃保証会社に加入させることは不可能ではありません。
家賃保証に入るお金がなかったら、大家さんが払ってあげればいいでしょう。
こんなご時世ですから、自治体から毎月支給があるというのは、
へたな勤め人より確実な入居者ともいえますので、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。
契約時は原則、家賃保証会社を通す
家賃滞納は賃貸経営にとって絶対に避けたいリスクですが、
その保険となるのが家賃保証会社です。
滞納や夜逃げなどがあった場合の家賃の取りはぐれを肩代わりしてくれます。
だいたいひと月の家賃の50%程度の掛け金で、2年間の保証が受けられるのが相場です。
それが高いとみるか安いとみるかというのは人によると思いますが、私は払う価値はあると思います。
ただし、家賃保証会社のほうも商売ですから、独自に審査して、
危ないと思う入居希望者は断ってきます。
一度契約をしたら入居者の権利が強いので、判例でも半年程度の滞納がないと追い出せません。
ですから、入居希望者を断るのは機会損失でありつらいところなのですが、
将来のリスクを未然に防ぐという意味で、仕方ないと思います。
不良入居者への対策に定期借家契約
定期借家契約は、契約期限が切れたら、住み続けるには再契約が必要で、
大家と契約者双方の合意がないとできません。
つまり、問題のある入居者に出て行ってもらいやすいということで、
大家にとって大きなメリットがあるのです。
入居者には「問題がなければ再契約します」という特約を付けてあげればいいと思います。
更新がないので、更新料も不要な点はメリットになるでしょう。
普通借家契約で不良入居者を入れてしまうと、たいへんな火種を抱えることになりますが、
この方法で契約していると、ほかの住民に迷惑をかける人、部屋にゴミを溜め込んでいる
ような人にも退去を要求できます。
定期借家契約を導入する際の「壁」
大家には大きく、入居者にも少なからずメリットがある定期借家契約ですが、
それほど導入が進んでいないのが現状です。
なぜかというと、肝心の入居者への説明と契約事務を行う不動産屋がやりたがらないからです。
敷金礼金ゼロで入ってくるお客さんは滞納率が高くなる傾向がありますので、
それは定期借家で契約をしたり、あるいは管理会社の人の勘でなにか入居希望者に
不安を感じたら保険のために定期借家契約するといった具合です。
そうやってフレキシブルに対応できる方法を勉強しつつ、時と場合によって、
2つの契約を使い分けられるようにしておけばいいと思います。
以上!
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