はじめに
表題の記事の感想を記載したいと思います。
尚、引用元は以下です。
今度のインフレはものすごく強烈で悲惨なものになるかもしれない
引用内容
金融商品にばかり投資していた
3年半ほど前になるが、2018年8月13日公開「異次元緩和でも日本にインフレが起こらない極めてシンプルな事情」で、いくら日銀が金融緩和・資金供給を行っても、日本では「2%のインフレ目標」でさえ達成できない理由について述べた。
あふれそうなプールに水を入れてもプールそのものには大した変化が無く、そのあふれ出た水を吸収してバブルになっていたのが株式を始めとする金融商品だ。「実体経済市場」というプールに、まさに湯水のごとく供給したマネーは、巨大なうねりとなって流れ出し、その受け皿となった「金融市場」に史上空前のバブルを引き起こした。
そのバブルがどのようなものかは、昨年10月28日公開「投資の神様・バフェットの『新予言』公開…今後の経済大乱で『株価下落とは限らない』」の冒頭で述べた。
そこへやってきたのが、原油をはじめとするエネルギー価格の高騰などをきっかけとしたインフレだ。
日本でもガソリン価格の上昇などの影響が出始めているが、欧米ではすでにインフレモード全開だ。長年にわたり、いくら(超)金融緩和を行っても達成できなかったインフレ目標を達成するどころか、大幅に上回っている。
2021年12月時点で米国の消費者物価指数は前年同月比7.0%増と、1982年6月以来の高いペースで上昇。また、欧州連合統計局が発表した12月の消費者物価指数は前年同月比で5%上昇と、それまでの最高であった前月の4.9%上昇からさらに加速している。
日本銀行が1月14日に発表した2021年12月の国内企業物価指数(2015年平均=100)も、108.7で前年同月比で8.5%上昇。消費者物価に波及するのは時間の問題だと言える。
だが、私の論じる「強烈なインフレ」というのは、この程度のものではない。
一般論でいえば、政府や中央銀行がある程度制御可能なのはインフレ率が一けた台の後半までであって、二けた台になると抑制できなくなる。つまり、我々が現在直面するインフレは「何とか制御可能な範囲」だが、かじ取りを誤れば「制御できないインフレ」になってしまうということだ。
1月20日公開「我々がトルコに学ぶべきこと―インフレ対策『言うは易く行うは難し』」で述べた、エルドアン大統領の「インフレ対策」によって、トルコは「制御不能なインフレ」に突入しつつあると言える。
だが、トルコを笑うことはできない。日本を含む先進国で、このような愚かな政策によって「制御不能なインフレ」に突入する可能性はかなりあるとみている。
「狂乱物価」とは、1970年代半ばの異常な物価の高騰だが、消費者物価指数は1974年に23.2%も上昇している。
第1次オイルショックは1973年だが、この狂乱物価の原因は「日本銀行のオイルショック前の『行き過ぎた金融緩和政策とその後の引き締めの遅れ』が、企業・労働組合などに製品価格上昇・賃上げに走らせた」ためであるとの見解がある。私も同じ意見だ。
そして、現在の状況はまさに当時のデジャヴである。
上がるから買う
一般的な市場では「上がるから買う」人が多い。だから、金融商品の価格が下がり始めれば、「下がるから売る」人々が増加する。ここのところ、NY株式市場や東京株式市場が神経質な動きをしているが、下落が本格的だと人々が判断すれば参加者が一斉に売りはじめ、暴落となることであろう。
高値圏での価格の乱高下は、バブル崩壊のサインであることが多い。
そこで、気になるのが金融商品を売却したお金の行き先だ。現在のようなインフレ局面では、売却代金はほぼ確実に「商品市場」へ流れ込むであろう。いわゆる原油をはじめとするエネルギーや、小麦やトウモロコシなどの食糧を取引する市場だ。
原油などのエネルギー価格は上昇中だ。しかも、ウクライナを始めとする地政学的リスクが目白押しである。
ロシアの石油生産量は世界第3位。1位が米国で、2位がサウジアラビアであるが、ロシアとサウジアラビアの差はわずかである。また、天然ガスは、米国、ロシア、イランの順。
原油埋蔵量は、ベネズエラ、サウジアラビア、カナダの順。天然ガスはロシア、イラン、カタールの順である。
ロシアがエネルギー資源の市場で重要な位置を占めることがよくわかる。
さらに、食糧においても、ロシアとウクライナを合わせると世界の小麦輸出の約3割を占めるとされる。
ウクライナ危機は、米国が、核弾頭を350しか持たない共産主義中国ではなく、米国(5550)以上の6260であるロシアと正面から対峙するという点で1962年のキューバ危機以来の大事件になるかもしれない。しかも、米国の大統領は、民主党の議員からさえ「核ミサイルのボタンを取り上げてほしい」と請願されるジョー・バイデン氏であるから生きた心地がしない。
しかし、最悪の事態に至らないにしても、地政学的な不安定さがエネルギー・食糧価格に大きな影響を与えるのは間違いがなく、金融市場で荒稼ぎをしていた人々が、商品市場でのビッグチャンスを見逃すはずがない。
そして、彼らが「上がるから買う」アクションを起こし、エネルギー・食糧などの商品市場を暴騰させるというわけだ。
資源採掘も食料も数年・数十年単位の投資だ
もうひとつ大きなインフレ要因は、長く続くデフレ経済において「設備投資」が先送りにされてきたことである。
1月29日公開の「トンガ海底火山噴火で地球寒冷化は必至、慌てふためく『脱炭素』勢力」で半導体工場がすぐに準備できないのと同様に、農地もすぐには準備が出来ないことを述べた。原油採掘を始めとする鉱業では、資源探査から各国政府の認可を得て生産するまでには数十年かかることが珍しくない。
我々は、クリックすると早ければ数時間、あるいは翌日には届くe-コマースに慣れきっている。だが、そのe-コマースの商品を製造する部品や原材料の「上流」に遡っていくと、新たな「調達」には大変な時間、労力、コストがかかることがわかる。
これから「上流」の蛇口が占められていくことが明らかな中で、「ワンクリック」でいつでも必要なものがすぐに届く時代が終わりを告げることになるだろう。
もちろん、昨年12月11日公開「インフレに転換すれば、ニッポンの『物流企業』が復権し、『e-コマース』を支配する可能性があるワケ」のような事態も十分起こりえる。物流は(価格高騰が予想される)エネルギーを大量に消費する産業だが、まだまだ労働集約的であり人件費の上昇も無視できない。
製造だけではなく、物流面からも「便利なeーコマース」は大きく変質せざるを得ない。
在庫が価値を持つ
これからも、生産性を高めるためのカンバン方式の重要性は変わらない。
だが、効率だけを重視して、在庫を絞り込み過ぎると、部品や材料の不足による「生産停止」に追い込まれることになる。「半導体不足」の事例で読者にはおなじみだが、これからは「半導体」だけではなく、すべての部品・原材料において不足・欠品が起こりえる。
したがって、各企業の自己防衛のために在庫を多めに持つ傾向がこれから現れるのは容易に想像できる。一社あたりの在庫増加量が少なくても、全社合わせればこれまで「デフレ仕様」になっていた生産・流通システムに与えるインパクトは大きい。
すると、さらに部品や材料が品薄になるから、それに備えるための在庫積み増しも増えて価格も上昇するという循環が始まる。
2020年3月2日公開「新型コロナ、『マスク売り切れ』」騒動だけじゃすまない『日本の大問題』」、3月15日公開「マスク&トイレットペーパー騒動の次に待ち受ける金利上昇の大リスク」で、「需給の均衡が崩れた場合のパニック」について解説した。このケースでも「もしなくなったらどうしよう」という不安心理が、「在庫積み増し」を加速し品不足に拍車をかけた。まさに後の記事の副題「インフレの原理を目にしているワケだが」ということだ。
しかも、これまで在庫を抱えると評価が下がって損失が出ていた状態が逆転する。デフレ時代には「次に買うときは価格が安くなっている」のが当たり前だったから、購入をぎりぎりまで待つ。
しかし、インフレ時代には「次に買うときには価格が上昇している」のが当たり前だから、早めに買って在庫にしておこうとする。例えば、半年前に1キロ1000円で買った材料が、今月1200円になっていたらコスト削減になる。倉庫代などの保管コストを考えてもかなり得なはずだ。
このように、生産を継続するための適量在庫が必要になるとともに、「持っている方が得」という(部品・原材料の)「含み資産(在庫)」経営が登場するかもしれない。この在庫を増やそうとする圧力がさらにインフレを加速させる。
金利もインフレも鋭角に上昇
プールにボトル1本のミネラルウォーターを注いでも大した変化は無い。だが、砂漠で迷ってのどの渇きに耐えかねている旅人は1本の水にいくらでも支払うだろう。
前者が冒頭で述べた「金融緩和政策」を象徴するものだ。そして後者が「金融引き締め」の劇的効果だ。
一定以上の資金があれば、それ以上資金を供給されても大した影響は無いが、明日手形決済期日で資金ショートしている経営者は、死に物狂いでどのような高利でも資金を調達しようとする。たった10万円でも足りなければ「不渡り」となり倒産扱いになるからだ。
金融市場でも、期末など特殊要因のある日にオーバーナイト(1営業日だけ)の金利が数百%になることは珍しくない。「余っている」と「足りない」のインパクトは天と地ほど違う。
物やサービスでも同様だ。例えば、いくら価格が高騰しても、ガソリン、ガス、さらには食料無しで人間は生活できない。しかも、現在日本の個人金融資産は2000兆円目前であり、相当価格が高騰しても(全体としては)支払うことが可能だ。
普通のインフレでは終わらないだろう
結局、資本主義の歴史で異例の長期デフレの後のインフレだから、「適度」では終わらない公算が高い。言い換えれば、「デフレシフトのやり過ぎが、インフレで死を招く」ということだ。
この記事公開時点で、読者はまだ疑心暗鬼状態かもしれないであろうが、ここ数か月の急速な事態の進展を考えると、年内あるいは来年には「狂乱物価」と後の世で呼ばれる事態に遭遇する可能性が高いと考える。
感想
今日も、2月から物価があがります、というニュースを見ましたが、
賃金のあがらない物価増は本当に困りますよね。
なぜ、税金を下げて、国民の生活を豊かにしようとしないのでしょうか?
もう、完全にスタグフレーションの状況ですよね。
物価は上がり続けているにも関わらず、平均給与は下がり続けている。
そして、税金も上がり続けている。
「景気の後退」と「インフレ」が同時に起きています。
きわめて厳しい経済状況と言わざるを得ません。
日本では1970年代のオイルショック後にスタグフレーションが起きましたが、
いま再びその危機に直面しようとしています。(すでに直面している?)
また、原油価格も高騰していますので、石油だけに限らず、
各種商品価格が上昇しますし、工場の稼働などの供給にも
悪影響を与えるため、オイルショックが再来する可能性もありますね・・・
政治には期待できないので、個人として、投資などの対策をするしかないでしょうね。
以上!
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