はじめに
私の妻は賃貸不動産管理会社で、週1回パートで働いているのですが、
ある夏の日、ある部屋から異臭が・・・との連絡が入ったそうです。
その妻から聞いた話を記載しますので、ご参考ください。
孤独死物件の対応
鍵を開けるには警察の立合いが必要です。
社長と警察官立合いの元、部屋に入ると入居者様が、
亡くなられていたそうです。
死因は病死ではないかという事でした。
真夏だったので、かなりの匂いがあったそうです。
保険等の請求と修繕の対応を妻が対応することになりました。
まずはご家族に連絡
入居時の資料を見ると、
東京に息子さんが一人いらっしゃるそうで、
連絡を取ったのですが、
精神のご病気を患っていて、仕事も満足にできず、
すぐに静岡へ帰るのは難しいという事でした。
いやいや、これは困った。どこからどう対応すれば良いのかな??
孤独死後の対応
とりあえず、ご遺体を警察にお任せです。
部屋の処置は管理会社が担当します。
まずは、残置物の撤去とクリーニングと消毒です。
唯一の肉親である息子さんは、こちらに来られなので、
息子さんの許可を得て必要な荷物は保管し、
必要で無いものは処分しました。
その後、壁や床のクリーニングと消毒です。
真夏でしたので、匂いが中々取れず苦戦した様です。
結局、フローリングは貼り替えました。
1ルームの一般的な間取りで50万程度かかりました。
ここで痛恨のミス・・・
本当だったら、保険請求用に処理前の写真を、
撮らなければいけなったのですが、
そんな事はすっかり忘れておりました。
警察は写真を撮っていたので、
貸してくれないか?とお願いしたのですが、
さすがに、それは無理なお願いでした。
ここで孤独死の対応を整理します。
①警察と中へ入り、警察が対応します。
②契約書を見て遺族へ連絡。
③部屋の残置物処理、遺品処理、
④クリーニング、消毒、修繕
⑤保険の対応、清算。
孤独死の時の保険の種類
適用される保険は2つありました。
①賃借人様が入っていた家財の火災保険
②大家さんが入っていた家賃保証
火災保険で支払われるもの
①の火災保険では、原状回復費用一式が支払われます。
(入っている保険によって内容は違うのでご確認下さい。)
残置物撤去、クリーニング、消毒、床の張替費用の見積もりを作成し、
保険会社へ提出しました。全部で約60万円。
床が少し変色していたくらいで、見た目では匂いはわかりません。
ご遺体発見時の写真は、撮り忘れており、ありません。
なので、保険会社としては見た目に損害はないのに、
なぜこんなに費用がかかるのか!?
そう思われてしまったのか分かりませんが、
現地調査が入る事になりました。
調査員の方が現地に来て査定します。
査定の方も、匂いは分かったそうで、
その旨を会社へ報告すると言って頂けました。
原状回復費の承認が下りました!
数日後、保険会社から連絡があり、
現状回復費全額の承認が下りました。
とりあえず一安心。
ですが、保険請求者である遺族と連絡が取れなくなってしまいました。
本来なら、契約者本人が請求しますが、もうこの世にはいません。
その場合、法定相続人が請求権を持ちます。
管理会社は、大家さんの為に一日でも早く現状回復して、
またお部屋の募集をしてあげたいです。
しかし、請求権を持つ息子さんと連絡が取れず2週間たってしまいました。
さぁ困った…。
保険請求は法廷相続人しか請求できません。
孤独死の場合、現状回復は亡くなった方が入っていた家財保険で、
原状回復費をして頂きます。
請求権は、法定相続人。
今回は、息子さん一人いらっしゃいました。
もし法廷相続人が複数名いれば全員の署名と捺印が必要になります。
もし、亡くなった方の兄弟等いらっしゃったら、
もっと大変だったかもしれません。
親戚付き合いがあれば、すぐわかるかもしれませんが、
80歳の親の兄弟の所在等分からない方も多いかもしれません。
そうなると保険請求にはかなりのハードルと手間がかかります。
請求出来なかった場合には、一人息子さんまたは大家さんが支払うしかなくなります。
そこが、不動産投資のリスクですね。
3週間後にやっと息子さんと連絡が取れた!
最後に息子さんと連絡を取ってから3週間後に、突然弁護士さんから連絡が!
息子さんが、小さな事件を起こして警察のお世話になっていた様です。
息子さんも、こちらで困っているだろうからと、
弁護士さん経由で連絡をくれました!
やっと連絡が取れ、必要な書類にサインを頂ける事になりました。
請求書にサインと、法定相続人である、
また、他に法廷相続人がいない証明に、
故人の謄本、原戸籍が必要でした。
それらを用意し、やっと請求、支払いとなりました。
②家賃保証の保証
今回の孤独死で対応となる保険は二つでした。
①賃借人様が入っていた家財の火災保険
②大家さんが入っていた家賃保証
これで①の 賃借人様が入っていた家財の火災保険の対応が終わりました。
次に、 ②大家 さんが入っていた家賃保証
の対応です。
孤独死の場合の家賃保証内容
孤独死の場合の家賃保証内容です。
今回、家主さんが入っていた家賃保証会社の内容は、
最長で12カ月との事でした。
なので、投資家大家さんは、
もし事故があってから1年間は、家賃は保証させます。
他人、家財保険で出なかった部分に関して保証してくれる可能性があるそうです。
今回は無かったのですが、家財保険で出ないのはお祓い費用等だったそうで、
もしお祓い等していたら、それは家賃保証の方で対応できたとの事でした。
一年は猶予あるんだなと思っていたのですが、
うちの管理会社の出来る営業マンは、やっと原状回復と保険処理が終わった途端に、
入居を決めてくれました!
孤独死後2カ月で入居が決まった!!
私は、大家さんかわいそうだなぁ、事故物件になっちゃって。
なんて思っていましたが、たった2カ月で入居が決まりました。
しかも!!!家賃2000円UP!!!
もちろん、新しい入居者さんには孤独死についてはお伝えしました。
アッ、もちろん、家賃が2000円UPしているのは、伝えておりませんが…。
という事で、家賃保証の2カ月間だけ請求して終わりました。
家賃保証は大家さんが請求権を持つので、必要な書類と共に大家さんへ渡しました。
以上!
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