はじめに
プロフィールにも記載してありますが、今は不動産投資家として、アパート一棟を満室経営中で順調です。
ただし、そこに至るまで、私と妻の悲しくも切ない物語(笑)があり、フィクション風ほぼノンフィクション小説というかたちで、お伝えするかたちがよいかと思い、本記事を記載し始めました。
尚、構成は一切考えず、記載し始めていますので、あしからず。伏線回収とかもあるかもしれないし、ないかもしれない。( ゚Д゚)w
T郎の上司からの突然の知らせ・・・
奥さん!大至急、T郎さんをお迎えに来てください!T郎さんが倒れました!
それは5月のある晴れた日の午後3時のことだった。
K子は、T郎の上司からの電話を受け、混乱した。
あまりにも突然のことだったからだ。
考える間もなく、重大なことが起きたのだろうと判断し、取るものも取らず、K子は、T郎が宿泊しているはずのホテルへ向かった。
(一体、どうしたのだろう・・・確かに、仕事が忙しいとは言っていたけど・・・)
一抹の不安を抱えながら、最近、子どもたちが大きくなってきて、手狭になった軽自動車から、数か月前に買い替えたばかりの中古のミニバンで高速道路を飛ばした・・・
1時間ほどでホテルに到着し、フロントの受付に
「〇〇T郎の妻ですが、旦那の部屋番号を教えていただけますか?」
と伝えたところ、受付担当者は
「ああ!あなたが〇〇様の奥様ですね!早く来ていただいて良かった!」
という返答だった。
K子は、
(どういうことだろう・・・)
と、より不安が増したが、とにもかくにも、受付担当者の教えてくれた番号の部屋へ向かい、カギを開けた。
すると、そこには、ベッドの横わきに座り込んだT郎がいた。
目は虚ろ、生気がない。
(これは、重大な何かがあったな・・・)
とK子は感じ、T郎に
あなた、どうしたの?
と声をかけた。
しかし、T郎は微動だにせず、虚ろな目をこちらへ向けてくるだけだった。
仕方なしにK子は、T郎の荷物一式をまとめ、何が起きたかは一切聞かずに、T郎とともに帰路へ着くのだった。
帰路の車中でもT郎の様子は変わらない。
声をかけても反応がない。
そこで、何はともあれ、まずは帰宅後、話を聞くこととし、家路を急いだ。
行きと異なり、帰りは夕方だったため、帰宅途中の車が多く、時折、渋滞も発生して、1時間半程度で、ようやく帰宅した・・・
帰宅後の様子は?
帰宅後も相変わらず、T郎の様子は変わらない。
何があったのか、教えてもらえないかな?
K子はT郎に再度、声をかけたが、またも返事はない。
仕方がないので、寝室のシーツを整え、T郎を寝かせることにした。
ひと段落したところで、最初に電話をかけてきたT郎の上司へ折り返し電話をして、詳細を聞くことにした。
もしもし、〇〇T郎の妻のK子と申します。先ほどはお電話ありがとうございました。無事、ホテルから旦那を帰宅させ、今、旦那は寝室で休んでいます。ところで、一体、何があったのでしょうか?
とK子は聞いた。
上司は、
K子さん、T郎さんの最近の状況を知ってらっしゃいましたか?
と聞いてきたため、
仕事が忙しく、夜も遅く、平日はホテルへ帰って寝るだけだよ、という連絡はもらっていましたが・・・
と返答した。
上司は、
ほかに何か聞いていませんでしたか?
と再度質問してきたため、
いえ、それ以外は特に・・・
とK子は答えた。
上司は、
そうでしたか・・・
いえ、実は、それだけではなくて・・・
私にも問題はあったのですが・・・
たいへん申し訳ございませんでした。
と返答してきた。
K子は、
(一体、何が・・・)
とますます不安が増した。
T郎に一体何が起こったのか?
一体、何があったのですか?
K子は聞いた。
いえ、実は、奥様もご存じのとおり、
T郎さんは確かに平日はホテルに帰って寝るだけの生活だったのですが、
睡眠時間は1~2時間程度だったのです・・・
えっ!
思わず、K子は、驚きの声をあげた。
一瞬の静寂の後、上司はさらに続けて、
さらに、たいへん申し上げにくいのですが、
T郎さんはお客様からいわゆるパワハラを受けていまして、
それが大きなストレスになっていたようです・・・
本来なら、私がマネジメントするべき、
時間外労働管理やコンプライアンスに関する問題だったのですが、
T郎さんなら大丈夫だろう、
という安易な考えで任せっきりになっておりました。
重ね重ね、申し訳ございません・・・
K子は、上司に対し、強烈な不信感を抱き、語気を荒げた。
そんなこと、まったく聞いていませんでした!
なぜ、上司であるあなたがマネジメントされていなかったのですか!?
たいへん申し訳ございません・・・
上司は同じ言葉を繰り返すだけだった。
詳細は分かりました!
ですが、まずは、旦那を十分、休ませてから、本人にも話を聞いてみます!!
また、こちらから連絡できる状態になったら、ご連絡します!!!
と、K子は、溢れる怒りを抑えきれず、電話を切った。
翌日、精神科へ
翌日の朝になっても、やはり、T郎の様子は変わらない。
緊急事態だと感じたK子は、近くの精神科へ連絡を取り、なんとか、その日に受診させてもらえるよう、当日予約を取り、T郎とともに、病院へ向かった。
まずは、カウンセラーからの質問があったため、昨日、上司から聞いた内容を伝え、その後、医師による診察となり、1時間程度で、ようやく、診察となった。
どうしましたか?
医師はK子に状況を尋ねてきたため、現状を伝えた。
医師は、
状況からすると適応障害ですね。
と答えた。
(適応障害・・・?)
K子は初めて聞く言葉だったため、医師に適応障害の詳細説明を求めた。
適応障害、というのは、突然の環境の変化、例えば、転勤、異動、入学、など
急な環境変化が起きた場合にその環境に適応できずに心身に悪影響を及ぼす病態です。
また、意外かもしれませんが、昇進や試験合格など喜ばしい内容でも、
その変化に適応できない場合、発症する可能性があります。
K子は、
よく、分かりました。ありがとうございます。今後、病状を回復させるためにはどのようにしたらよいでしょうか?
と医師へ訪ねた。
まずは、休息が一番です。併せて、抗不安薬も出しておきますので、ご主人がある程度、お話できるような状態になったら、また、来院してください。
とのことだった。
おっしゃることは分かりましたが、どの程度で、そのような状態になるのでしょうか?
K子は再度、尋ねた。
医師は、
すみません。患者様ごとに症状や重篤度も異なるため、一概には言えませんが、最低でも、1~2週間程度は様子をみてください。
念のため、2週間後に予約を入れておきますね。それより早く、お話できるような状態になったら、受付へその旨、お電話していただければ、診察日を調整しますので。
「ありがとうございます。承知しました。」
K子は、医師へ謝意を述べ、会計、薬の受け取りを済ませ、帰路へ着いた。
~K子side episode1~ to be continued・・・
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